CASE-J

Area Expert Meeting

冠動脈疾患に対する新たな治療戦略 -日本人の心臓を護る-in 埼玉

Short Lecture-2

慢性腎臓病(CKD)と心血管イベント

檜垣

では次に、近年注目されている慢性腎臓病(CKD)と心血管イベントの関連について、お話しください。

大蔵 図5 腎機能障害が進行すると 心血管イベントが増加する 図6 HIJ-CREATE  冠動脈疾患患者に対する主要心血管イベント発生率

本邦における透析患者数は約26万人で、毎年約1万人ずつ増えています。また、近年注目されているCKD(GFR<60mL/分/1.73m2)患者は、約2,000万人いると推定されます。

CKDは腎イベントの危険因子ですが、腎機能障害が進行すると、心血管イベントが増加することも知られています(図5)。実際、本邦で行われたCASE-Jのデータをみても、CKDは心血管イベントの最大のリスク因子でした。また、最近報告されたChallenge-DM試験(対象は糖尿病合併高血圧症例)のデータからも、CKDは非CKDに比して突然死、脳・心血管イベントの発現率が有意に高く、GFRが改善すると発現率は低下(42%)することが明らかになっています。その原因としては、CKDの初期から心肥大がみられ、GFRの低下と共に血圧が上昇し、動脈硬化が進展するためと考えられています。

一方、腎機能の低下を抑制するには、腎機能の増悪因子である蛋白尿を減らすことが最も重要になります。

ARBは全身の血圧を下げますが、さらに輸出細動脈を特異的に広げることで、糸球体内圧を下げ、蛋白尿を減らし、糸球体を保護することが知られています。実際、CASE-JではカンデサルタンがCKD合併例における腎イベントの発現率を、アムロジピンに比して有意に57%低下させておりますし、先ほど河野先生からお話がありました、HIJ-CREATEでは、腎機能が低下しているCKD症例(Ccr<60)では、標準治療群に比してカンデサルタン群で心血管イベントの発現率が有意に21%抑制されていました(図6)。

しかし、実際の臨床においては、顕性蛋白尿がみられる以前、つまり微量アルブミン尿の段階から積極的に介入することが心血管イベントの抑制に重要だと思われます。なぜなら、高血圧症例においては、微量アルブミン尿の段階から心血管イベントの発症リスクが高くなるからです。カンデサルタンは、用量依存的に微量アルブミン尿を減らしていくことが明らかになっていますので、CKDの進展抑制と心血管イベントの発症抑制には、早期から十分量のARBを使うことが有効だと思われます。

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