CASE-J

Expert Meeting

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慢性心不全の治療と、
予防への展開
〜CASE-Jからのメッセージを日常診療に活かす〜
出席者(発言順)      
小室 一成 先生
千葉大学大学院
医学研究院
循環病態医科学教授
(司会)
清水 光行 先生
東京慈恵会医科大学
附属柏病院
循環器内科教授
塩島 一朗 先生
千葉大学大学院
医学研究院
心血管病態解析学准教授
中尾一和先生
加藤 洋一 先生
順天堂大学
医学部附属浦安病院
循環器内科准教授
       
近年、心不全の原因として拡張機能障害が注目され、特に高齢者の心不全患者さんでは、その約半数が拡張機能障害によるものといわれている。 従来、収縮機能障害による心不全と比べて、拡張機能障害による心不全の予後は良好だといわれてきた。実際、拡張機能障害による心不全には利尿薬が良く効くために比較的早期に退院できる。 しかし昨年の『New England Journal of Medicine』に掲載された論文によると、拡張機能障害による心不全症例の5年生存率は30〜40%で、収縮機能障害による心不全例と生命予後に差がないことが明らかになった。 そこで、心不全に至る機序と心不全の予防と治療、さらに心不全に対するカンデサルタンの有効性について語っていただいた。
高血圧から心不全に至る機序
小室: 現在、米国には約500万人の心不全患者さんがおり、 年々増加して2040 年には700万人を超えると予測されて います。
一方、我が国では脳梗塞や心筋梗塞で死亡する方は減少 していますが、心不全による死亡は年々増えています。 心不全は重篤な疾患で、一般に5年生存率は約30%、重症心不全(NYHA III度、IV度)では3年生存率が約50% といわれていますが、NYHA IV度の1 年死亡率は60〜 70%と、進行肺癌より予後が悪い疾患です(図1)
そこでまず、心不全に対する対応についてご意見を伺い ます。

清水: ご存知のように、ACC/AHAは2005 年に心不全診 療ガイドラインをだしています。そのガイドラインでは、 心不全の進展程度をStage A〜Dの4Stageに分けています (図2)
心不全は発症(Stage C)するまでに数年かかりますが、 いったん発症すると短期間に重症化して死に至る疾患です。 したがって、心不全になる前段階(Stage A、B)から積極的に治療しよう、というのがこのガイドラインの主旨です。
一方、高血圧(Stage A)から心肥大(Stage B)を起こしてくるのには、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系が非常に強く関与していることが分かっていますので、Stage Aの段階からRAA系を抑制する治療が推奨されています。

小室 従来は心不全を発症してからどのような治療を行 うかに主眼が置かれていましたが、最近は発症予防の重要性が指摘されています。心不全の発症予防には、高血圧の管理が非常に重要であることが、多くの疫学研究で明らかになっています。実際、血圧をコントロールすると、心不 全の発症率が約50%減少することがメタ解析で明らかに なっています(図3)
どうして、高血圧と心不全はこれほど密接に関係しているのでしょうか。

塩島: 高血圧は動脈硬化の進展を介して、心不全の原因となる虚血性心疾患の発症を促進します。また、高血圧に伴って心肥大が起こりますが、心肥大は虚血性心疾患のリスクでもあると共に拡張機能障害を招いて心不全の原因ともなります(図4)
心肥大が拡張機能障害を起こすメカニズムとしては、まず心筋の間質の線維化が考えられます。実際、高血圧モデルあるいはアンジオテンシンII(Ang II)を負荷したモデルでは、心筋の間質に非常に高度な線維化が起こることが 明らかになっています。線維化が起こると、心筋が硬くな って拡張機能障害が起こり易くなります。
また、心肥大が起こると心筋のCaポンプの機能が低下して拡張期にCaが再吸収されにくくなって拡張機能障害が起こる、というメカニズムも指摘されていますが、この点についてはまだ不明なことが多いのが現状です。
心肥大が心不全に至るメカニズムとして、もう一つ重要なことは、心筋の微小循環の虚血です。病的な高血圧あるいは弁膜症に伴う心肥大では、冠動脈の血管新生が十分に起こらないために心筋が慢性的に虚血状態になって心機能 不全を来たす可能性があります。

表1.ハイリスク基準
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表2.主要評価項目
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図1.CASE-J試験デザイン(PROBE法)
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図1.CASE-J試験デザイン(PROBE法)
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